菌類性
サルノコシカケ科のマツホドの菌核をそのまま乾燥したもの。菌核は不定の塊状で(大きいものでは径30cm)、外面暗褐色〜暗赤褐色でこぶ状のしわがある一方、内部はほぼ白色でやや赤みを帯び特殊な臭気がある。秋〜翌春にかけて土中の菌核を掘り出す。生薬は質が重く帯赤白色で粘り気と潤いのあるものが良品である。
茯苓という言葉は、植物の松に住まう精霊(神霊)に伏して(祈ること)できたものという意味で、古くは「伏霊」と書いていました。中国漢方の古典『本草網目』には、「松の神霊の気が結節したもの。大きさ斗ほどの堅きこと石のごときものがあり、それがはなはだ(効き目が)優れている」と記されており、その薬効のすさまじさが謳われています。日本では松の根もとにできる大きなかたまりであることから松塊(マツホド)と呼ばれ、江戸時代に入ってから漢方として使われるようになりました。薩摩産が最上級とされ、常陸や大和、出雲、筑前などが産地として知られていたようです。